九月二十日: 「ひかりの日」 東京電力の光ファイバー、TEPCOひかり。 が我が家にやってきた。 九月の十五日に宅内工事があり、 それはそれでちょっとしたトラブルがあって 1時間もあれば終わるはずが1日仕事になってしまった。 工事の後、近所のヤマダ電機で ブロードバンドルーターも買ってきて、 設定を終えて、さあ、接続だ。 ダウンロードの速いこと! ところが、どうもおかしい。 YAHOO!とExciteにつながらない。どうして? 自分のMacも、息子のWindowsも、ブラウザはIE。 それでNetscapeに変えてみたりしたのだが... 迷ったとき困ったときの駆け込み寺は、価格コムの掲示板。 というわけで、 こんな書き込みをしてみたら... 以下、価格コム掲示板より。 sutta-monndaが私です。 =タイトル= [1954881]TEPCOひかりは快調なのですが・・・ sutta-monda さん 2003年 9月 18日 木曜日 22:10 dae16b02.speednet.ne.jp Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.17; Mac_PowerPC) TEPCOひかり。に加入しました。速度は23メガほど出ているので、これまでのフレッツISDN生活を思えば夢のようですが、困っていることがひとつ。YAHOO!とExciteへのアクセスが非常に遅いのです。ほとんどテキストベースのページなのに。10分ほどかかります。とりあえず検索はgoogleで済ませていますが、YAHOO!やExciteのようにカテゴリ検索ができないと、やはり不自由です。この件でSpeednetに問い合わせようと思ったら電話がつながらないし、しょうがないからTEPCOひかり。に問い合わせのメールを出しました。さて、どんな回答がくるのやら。 それとも、ルーターの設定とか、そういう、こちら側の問題が何かあるのでしょうか。どなたか、詳しい方いらっしゃいますか。 ------------------------------------------------------------------------ [1958555]ちゅぅがくせぃ さん 2003年 9月 20日 土曜日 08:38 (おきらく計画) adsl-1-7015.adsl.nsk.ne.jp Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.0.3705) 接続機器(ルータとか)のファームウェアが古いのかも。 ------------------------------------------------------------------------ [1958675]sutta-monda さん 2003年 9月 20日 土曜日 09:48 d30aae1b.speednet.ne.jp Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.17; Mac_PowerPC) 昨朝、スピードネットのカスタマセンタに問い合わせたところ、 (1)特定のサイトへのアクセス制限はしていない (2)ブラウザのキャッシュをクリアすると症状が改善されることがある (3)それでもダメならルータの設定に問題があるかも という回答を得ました。 ブラウザはIEを使っており、キャッシュクリアをしてみましたが 症状は変わりません。試しにネットスケープ最新版を使ってみましたが やはりYAHOO!とExciteへの接続はほとんど不可能。 ということは、ルータを疑うべきなのでしょう。 休み明けにNTT-MEのカスタマセンターに電話してみます。 機種はBA8000Proです。 それと、メールで問いあわせていたTEPCOひかりのカスタマセンターから 昨夕、電話がありました。回答はスピードネットの担当者とほど同様のものでした。 まだ問題解決には至りませんが、こうしたサポートには感謝です。 これからBA8000Pro関連で何かヒントはないか、そっちの掲示板に行ってみます。 ------------------------------------------------------------------------ [1958683]sutta-monda さん 2003年 9月 20日 土曜日 09:52 d30aae1b.speednet.ne.jp Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.17; Mac_PowerPC) それと、ちゅうがくせいさん、アドバイスをありがとう。 ファームウェアの更新も、あたってみます。 ------------------------------------------------------------------------ [1958848]sutta-monda さん 2003年 9月 20日 土曜日 10:55 dae17003.speednet.ne.jp Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.17; Mac_PowerPC) さっそく、NTT-MEからファームウェアをダウンロードしようとしたら、今度はNTT-MEに接続できません。 で、MN128SOHOにLANをつなぎ直しフレッツISDNで接続。 最新のファームウェアをダウンロード。 ふたたびBA8000ProにLANをつないで、ファームウェアを更新。 設定をし直したら、 YAHOO!もExciteも問題解決、スムーズにアクセスできます。 ちゅうがくせいさん、ありがとう、です。 ------------------------------------------------------------------------ 掲示板の書き込みは これで終わりですが、問いあわせていた TEPCOひかり。のカスタマーセンターに 問題解決のご報告メールを書いたり スピードネットのカスタマーセンターに 同様の電話をしたりして、 お騒がせも一応まるく納まった感じ。 そんでもって、 さらばフレッツISDN、 九月十五日は「ひかりの日」に決定だあ!
七月二十三日: 「銀座大安」 銀座、往来。 ギンザ、ハッピー。 方向音痴のオレは、 未だに中央通りはどこですか と人に尋ねる体たらくだけど、 でもね、今日は大安である。 午前中、東銀座で 久々の仕事の 打ち合わせを終えたオレは 地下鉄東銀座駅のWCに立ち寄り 右から二番目の小便器にて 用事を済まし さあ帰ろうと改札に向かったところで バッタリ旧知のI氏に遭遇。 きびすを返す格好で I氏と再び地上へ。 彼とは十数年のつき合いなのに こんな偶然は初めて。 せっかくです、昼飯でもどうですか 一緒に。 と向かった先は東劇ビル地下、 TSUKIJIm亭。 ランチのタコ飯、アンド赤汁。 つまりレッドワイン。 昼間っから飲んじゃって。 うまいの、なんの、かんの。 で、ほぼ1時間。 ごちになっちゃって、 別れて再び、東銀座駅に向かう交差点、 そのあっち側からやってくるのは、 Y氏ではありませんか。 ヤアーとオーで、しばし世間話。 でもって、再び催したオレは 地下鉄東銀座駅WCの 右から二番目の小便器へむかったとです。 で...
七月八日: 「街角の 監視カメラに ポーズする わたしは一体 だれでしょう」 監視カメラが話題である。 福岡での一家殺害事件では、 警察が道路に設置した監視カメラに 家族のクルマのナンバーが写っていたという。 犯行グループは、このクルマを 殺害後の遺体の運搬に使ったと 推測されている。 長崎での幼児誘拐殺害事件では、 幼児を連れ歩く犯人とおぼしき男性の姿が 商店街の監視カメラで撮影されていたようだ。 幼児の姿が見分けられるほど 鮮明なビデオ映像が残されていた ということなのだろう。 わたしは事件の早期解決を 願う者のひとりである。 でも、その監視カメラのことは とても気になる。 銀行ATMを利用するときなど わたしはそこにある監視カメラに向かって ついポーズをとってしまう。 見られているという意識があるからなのだが、 あなたはいかがだろうか。 見られていても、残されていなければいい。 そういう考え方もあるかもしれない。 しかし、冒頭に紹介した2つの事件では ビデオテープは残されていたということである。 テロ対策の一環として 航空会社も特別な監視カメラを導入するらしい。 これは、ただ撮影するのではない。 デジタル技術で 顔の特徴を判別し、データベースと照合するという。 こうした技術が全面的に採用されたら 手配中のテロリストが新たな犯行を繰り返すのを 未然に防げるかもしれない。 この技術はまだ発展途上で誤差もあるようだ。 それに高価でもある。 だが、いずれは安くなり普及する。 いま街頭にある監視カメラが そういう監視カメラに世代交代する日は たぶん、そう遠くない。 そのとき街角を平然と歩ける わたしであるか、ないか、それも気になる。 とても。
六月二十五日: 「アルハラ」 朝の天気予報で 「今日はカラッと晴れて ビールの美味しい暑さです」 だと。 あんなことを言ってはいけないよ。 もしもアルコールの嫌いな人が そのために一日を不愉快な気分で 過ごすことになったらどうする。 あるいは、 断酒中の人がその一言をきっかけに また飲み始めることになったら。 これはもう立派な アルコール・ハラスメントです。 略してアルハラ。 う、なんだか口の中が乾いて 落ち着かない気分になってきた。 目の前にコーヒーがあるし それを飲めばいいじゃないか。 ダメだダメだダメだ。 違う。こら、やめろ。 それはビールだ。 あ、あ、あ。 (想像です)
六月十四日: 「老婆忽然」 雨の日、都心で用事があるときは 駅までバスを利用する。 帰りもまた同じ。 今日もそうして 駅前でバスを待っていた。 2系統が発着するバスストップで、 前に並んでいた客がすべて 私の家とは別方面行きに乗り込み 後ろに並んでいた人の中にも そのバスに乗る必要のある人が いるだろうと思って、私は 一歩脇に立ち位置をずらした。 バスは発車し、私も もとの列の先頭に戻ろうとした。 そこへ一人の老婆がやってきた。 この位置にはベンチが置いてあり、 老婆は座った。 バスが来た。 すると、老婆は立ち上がり、 そのまま動かないではないか。 無言である。 すみませんねえ。の一言はない。 能面のごとく。いや、 筋張った顔は骨然、である。 くそ、俺は笑っている場合か。 腹立つなあ、もう。 おい、ばあさん、なんか言えよお。 しかし。 言えなかった。 そして 扉は開き老婆は乗り込み、 俺も続いて乗り込み、 老婆はセンタードア横の優先席へ、 俺は最後部シートへ向かい、 座ったとたん、 死ね、ばばァ、と小さく毒づいた。 腹の虫はおさまらないぜ、このくらいじゃ。 などと思っている間に 大半の席が埋まり、 走り出した。 最初のバス停が近づくと、 たくさんの客がいた。 その客たちが乗り込んできたとき、 ふと気になって老婆の方を見ると、 あれ、いない。 姿が消えているではないか。 他の席に移ったのかと くまなく見回してみるけれども、 車中のどこにもいないのだ。 うむ、ミステリーだ。ホラーだ。 やな感じ。 先の一言が気になりはじめた。 ボクはとっても臆病なのだ。 バスが走り出した。 気になってバス停を振り返ると。 忽然。 そこに立っているではありませんか。 なんでだ。 降りるには早すぎないか。 たった一駅だぞ。 乗るバスを間違えたのか。 それとも気分でも悪くなったのか。 おや、なんでこんな心配を私が してるんだろう。 とりあえず、 ちゃんと立ってるじゃないか。 足もはえてるみたいだし。 (あああ、これじゃうまく落ちないなあ)
五月三十日: 「雑派打!」 ドラムという楽器は 巧すぎる人が叩くと、 へたに聴こえることがある という不思議。 それを面白く思った。 (ここんとこ これ買っとけ絶対安心 て感じで、 スガシカとか 聴いてた、んで、 なんかちょっと冒険 してみなとか、 思ってたら amzonでおすすめ、 ほら、おれ、変なの買ってるから 変なの、おすすめするわけ amazonは) おすすめに応えて 買ったのが、 冒頭の、ドラムが巧すぎて へたに聴こえる vinnie colaiutaという男、 かつてFRANK ZAPPA いまはstingのバンドに在籍の ドラマーのデビューアルバム。 (この辺に、音、来るよなって ところに、音、来ない で、その一瞬後に、来る 地面が、くだけるような 崩落感 墜落感 欠落感 魂が震えるんよううううう) もしや、あのZAPPAが 今ならやりたがるかも しれないことを vinnieはドラムという楽器で 再現してみせているのかも 聴け、これが雑派打! (変なもん好きなら はまるよ) 追伸: わざわざことわるのもなんだが、 これは超大震度級の賛辞なんだよ。
五月十七日: 「妄想竹」 わたしがいつも仕事している部屋は、 二階の東側にある。 隣家はたいそうな土地持ちで、 その、ほとんど雑木林と呼んで良いような 庭を眺める位置に、 わたしの仕事机が配置されている。 隣家との境界線を 空に向かって伸ばしていくと、 部屋の窓から わたしの手が届きそうなあたりを通過する。 五日ほど前のことだ。 書類から、ふと目を上げると、 窓の外に、何やら尖ったものがある。 まぎれもない、それは竹の先端だった。 隣家の庭には、竹がたくさん生えている。 いちばん我が家寄りの場所に、 また一本 竹が産声を上げ 空に向かって進撃を開始したというわけだ。 窓から身を乗り出して確かめると、 建物一階分の高さまで成長した 立派なタケノコ、いや、 もうタケノコとは言わないか。 たとえるなら、バブルに向けて 快進撃を続けていた頃の、日本。 近いところでは、ある晴れた日の朝 イラクへの侵略戦争を開始し あらゆる犠牲を省みることなく ただただ自らの絶対権力者たるを 証明せんがため、空にミサイルを発射した、あの・・・ あれ? どうしたというのだオレは。 なんか、口走ってないか? さて、今。見上げると竹の先端は ついに二階の屋根を越えそうなところまで 伸びている。 この五日間、何度も、 あの先端はどんな味がするんだろう と想像した。 先端にあるのはいわゆる成長点というもので そこが、いちばん美味いはずだ、とか。 でも、それはタケノコの話だろ? 目の前の竹は、たとえるなら トウの立った中学生か高校生あたりの風情で・・・ あれれ? なんか、あの竹を見てると 妙にいろいろ飛躍しちゃうな。 もしかして、新種? 孟宗竹じゃなくて妄想竹だったりして。 あれれれれれれれれれれ
五月十日: 「鰻旅」 五月六日、夜七時半。 浜松駅南口前広場。 この街を訪れるのは 十年ぶりだ。 飢えた視線を走らせるオレ。 いた。ビルの暗がりに、 たたずむ中年男。 オレはゴム底の靴で 音を立てることなく、 ヤツに近づく。 あのう、すみません。 どこか、おいしい うなぎをたべさせてくれる みせはありませんか。 これじゃ、ただの餓鬼だ。 しかし、これほど分かりやすい 合い言葉が他にあるのか。 ヤツは一瞬、オレに視線を投げた。 そして、口を開いた。 ありますよ。うな炭、というのが。 言うと、先に立って歩き出した。 あっちに、大きな通りがあるでしょ。 あれを渡って 向こうの道をまっすぐ行って 突き当たったら 左に曲がると、 三階建てのビルがあって、 それが、うな炭ですよ。 うまいですよおう。 オレは教えられたとおりに歩く。 人影はない。 なさ過ぎる。 おい、大丈夫なのか。 しかし、店はあった。 しかし、休みだった。 あの合い言葉、間違っていたのか。 来た道を戻ると、 大通りに面したビルの裏口付近に、 黒い人影。 ダークスーツ。 怪しい。 だが、怪しさでは負けないオレは そっと近づく。 そして気がつく。 なんだ、真面目な銀行マンじゃないか。 すでに、怯えた雰囲気。濃厚。 だが、ここで尻尾を巻くわけにはいかないのだ。 先刻と同じ合い言葉を投げる。 すると、みるみる安心の波長が周囲に漂う。 この街への訪問者が、ゆきずりの店を求めて さまよっているわけね、ボクのことを 銀行マンと知って強請りたかりの乱暴狼藉を 働こうって魂胆じゃないんだったら 教えてあげようかなんん。 北口側に名鉄ホテルというのがあって、 そのそばに八百徳という店がありますよ。 オレは、ありがとうと答えて 歩き出す。 だが、仕事道具を収めた ずっしりと重いバッグのせいで 腕と肩が悲鳴を上げている。 オレは立ち止まり、方針を変えた。 まず、この荷物を安全なところへ置いていこう。 ホテルに電話をして、道を確かめ、 すでに八時近くなったことを少し心配しながら オレは急いだ。 チェックイン。荷物を置く。 そしてまた合い言葉。 おすすめしておりますのは、 駅前の××でございます。 え、あの駅前の××ですか。 あそこ、美味しいですか。 うなぎ、やってるんですか。 うなぎも、あります。 夜十時まで営業しております。 でも、鰻専門店ですと、この時間には オーダーストップですね。 ネタがなくなれば、七時でも閉店です。 オレは、 心配が的中しつつあると確信した。 完全に運に見放されたのだ。 名鉄ホテルそばの店は、 もう閉まっているだろう。 そして オレの空腹は極限に達しようとしている。 駅前の××に、入る。 オレの勘は、けっこう当たる。 今夜も当たってしまった。 悲しい。 それでも、朝はやってきた。 仕事の段取りを打ち合わせながら、 ところで、と切り出す。 この街は、夜が早いですね。 すると、意外な答が返ってきた。 いやあ、連休中は浜松まつりで 連日連夜の大騒ぎだったからねえ。 さすがの浜松っこも、疲れたんでしょう。 昨日は 臨時休業が多かったんじゃないのかなあ。 情けないオレ。ついてないオレ。 こんなオレにした世間を恨むぜ。って、 オレは股旅ものか。 違います。「鰻旅」でございます。 ちゃんちゃん。
五月五日: 「忙忙」 このところ、取材が続いている。 先月は3回。 今月はすでに2回。 そして明後日は一日で2回こなすことになっている。 取材をうけるのではない。 取材するのである。当然、録音した内容を データ原稿の形で文字に起こすという手間もかかる。 そんなわけで、お休みはなし、である。 これから、コピーとしてまとめることを考えると、 これからも、お休みなし、である。 昨年の夏以降、ヒマであったことを思えば、 このように、目前にしなければならないことがある、 というだけで幸せ、というものである。 鏡を見る。ひげ忙忙。 そらねば。 明日の日中は、なにかの打ち合わせ。 そして夜は、明後日の取材が朝一のため、浜松に泊まりである。 (ぐったり) あ、いかんいかん、オレ的にグッドなニュースもあった。 日経BP広告賞の優秀賞というのを、ある製薬会社の広告で 受賞したとの知らせ。発表はちょっと前らしいが。 スナオにうれしい。 自分の名前が、そういうところに出るなんて。 この話、うまく、忙忙に落ちないけど、まあいいか。
四月十九日: 「喝老」 何年も前のこと。 池袋駅の地下道を歩いていたときだ。 雑踏がノイズとなって空間を満たし、 ボクはいつのもように 少し居心地の悪い気分で歩いていた。 周囲と自分のリズムが 微妙にずれている感じがするのだ。 (自転車にのっていると感じる 自分と空間と一体になった あのリズムの心地よさとは、まるで違う) 話を元に戻そう。そのとき 前方から、ひとり、小柄な老人がやってきた。 小柄であること以外に、これといって特徴のない という表現がぴったりするような。 そしてボクの右側2〜3メートルのところを、 若い男女の二人連れが ボクと同じ方向へと歩きながら お互いの顔を見合って、けらけら笑い合っていた。 どちらが先に進路を変え、衝突を避けるかな。 そんなことを思いながら、ボクは歩いた。 二人は、老人が まっすぐに自分たちに向かっていることに もしかして気づいていないのか。 それとも、老人が道を譲るだろうと たかをくくっているのだろうか。 あ、このままじゃ、ぶつかる、と思った一瞬、 老人の一喝が響き渡った。 「前を見て歩け」 ぴょんと跳び上がり、 さっと横に逃れ、立ちすくむ二人。 老人は前方をきっと見据えたまま歩き去る。 あの一瞬、地下道にいた全員が立ち止まり 息をのみ、静寂が空間を支配した、 そういうシーンとして、ボクは記憶している。 あのような人を「喝老」と呼びたいと思う。 あなたの街に喝老はいるだろうか。
四月十一日: 「白紙の保証書」 液晶テレビが映らなくなった。 ニュースを見ているとき、突然消えた。 ついているスイッチやボタンやリモコンを 全部試してみたが、 画面は消えたままだ。 メーカーに問い合わせたところ、 その症状は電源部の故障 と思われるが、製品を見てみないことには はっきりしたことは言えないし 修理もできないとのこと。もっともだ。 ただし、購入日から2年ほどたっている。 1年のメーカー保証期間は過ぎている。 つまり、金がかかる。 出張修理は、出張費が2000円ほど。 交換した部品代や技術料もカウントされる。 なんだかんだで1万円くらいするかも という話なのだ。 「ところで、販売店さんが延長保証をつけていませんか」 とメーカー氏。え? なんのこと? 聞くと、 最近は販売店の方でメーカーとは別に 保証期間を延長するサービスが普及してきて、 商品を購入すると自動的についてくる場合も あるらしい。 これも、売れない時代の競争力強化の一環 なのだろう。 「ちょっと、お店に聞いてみてください」 という勧めに従って、さっそく電話。 液晶テレビを買ったのは、近所の量販店だ。 電話に出てきたのは、家電フロアの販売主任。 こちらの事情を話すと、 意外な答が返ってきた。 「白紙の保証書はありますか」 またしても、え? なんのこと、である。 この店では、メーカー保証書と別に 販売店独自の保証書を出している。 そちらには日付がちゃんと入っているけれど メーカー保証書のほうは白紙のままだ。 だから、その白紙のままのメーカー保証書が手元にあるか と聞いてきたのだが、 説明されるまでわからなかった。 保証書は、ある。でも、白紙ではない。実は 何年何月何日という日にちを、 自分で書き入れてしまったのである。 性格である。 こういうことが、きちんとしてないと、いやだ という性格なのである。 なんで店は、こういうことをないがしろにするのだ と思っていたくらいなのだ。 でも、そんな性格が、裏目に出たかも。 もちろん、そんなことは電話では言わずに、 さっそく テレビと白紙の保証書を販売店に持ち込むことにした。 家電フロアで待つこと数分、販売主任が登場。 保証書を渡すと、 こちらが書き込んでしまった日付を しばらくじっと見つめていたが、 おもむろにボールペンで1を2に、3を8に 変えてしまった。 2年ほど前に購入したはずが、 この1年以内の購入ということになってしまった。 おいおい。 やってくれるじゃん、おぬし、なかなか。 で、テレビに電源を入れて故障を確かめる、 なんてことさえしない。 修理依頼の書類を書いて、 修理が終わって戻ってくるまでの 代わりのテレビを受け取って、 では、戻ってきたら連絡します、でおしまい。 いい加減で、あまり好きじゃない と常々思っていた、その店のことが、にわかに 好感度ナンバーワン。(そんなわけないでしょ) なんだか 共犯者になったような気分。 (でも、得したのは明らかに自分) これで、メーカーのほうから 保証書の記載に誤りがありました、 保証期間を過ぎているので実費をいただきます とか言ってきたら、 あの販売主任はなんていうかな、とか、 この先の展開をちょっと楽しみにしている。 みなさん、 白紙の保証書は、白紙のままに、ですよ。
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